紀伊豪雨教訓に絵本出版 「親子で水害学んで」
2025年7月9日 14時04分
教育

和歌山・奈良・三重の3県で、88人の死者・行方不明者が出た2011年の「紀伊半島豪雨」の教訓を伝える絵本が、このほど出版されました。

タイトルは、「川がパンクしちゃった!もりのがっこうとどうぶつたち」で、森の学校の近くを流れる川が大雨で氾濫(はんらん)し、学校の2階へ避難した動物たちが食べ物や飲み物を分け合って一夜を過ごし、励まし合いながら、復興に向き合う物語です。

絵本を制作したのは、地質学を専門とする和歌山大学客員教授の後誠介(うしろ・せいすけ)さん72歳で、河川が氾濫する仕組みを解説し、逃げ遅れにつながる危険性などを強調しています。

後さんは、紀伊半島豪雨の被害が大きかった那智勝浦町出身で、地盤工学会などの合同調査団として被災地で活動しました。そして、防災教育で訪れた新宮市で、幼稚園児が、熱心に話を聞く姿に、全国の児童らにも防災について考えてもらおうと、新宮市出身のライター、黒川(くろかわ)なおさん41歳らと絵本を制作したものです。

後さんは、「豪雨であっという間に命の危機にさらされることは、全国共通の問題だ。親子で一緒に水害の仕組みを学んでほしい」と話しています。

絵本は、はる書房から刊行されていて、1冊1870円で、全国の書店やインターネットで購入できます。