「有田・下津みかん」世界農業遺産・みかん研究者の仁藤伸昌氏が期待と提言
2025年9月12日 17時14分
歴史・文化 社会

FAO・国連食糧農業機関から先月(8月)世界農業遺産に認定された「有田()下津(ありだ・しもつ)()地域の石積み階段園みかんシステム」について、 地元の推進協議会の有識者として申請に助言したみかん研究の第一人者で、元・近畿大学生物理工学部教授の仁藤伸昌()(にとう・のぶまさ)さんは「和歌山発祥の温州()(うんしゅう)みかんが世界に認められた。先に認定された“みなべ・田辺の梅システム”とあわせて、ひとつの県内に2つの世界農業遺産を持つのは、静岡と和歌山しかない」と語りました。

世界農業遺産申請の助言を行った仁藤伸昌さん(9月11日・和歌山放送)

今回認定されたシステムは、有田・下津地域で400年以上前から取り組んでいる温州みかんの農法で、急峻な山肌に石垣を組んで作ったみかん畑で良質なみかんづくりを行うとともに、収穫したみかんを土蔵で熟成する「蔵出しみかん」の貯蔵法も特徴的です。

柑橘類研究者である仁藤さんは、推進協議会の有識者として世界農業遺産申請の助言を行い、貢献しました。

有田・下津地域の特色について、仁藤さんは「みかん自体の栽培はもとより、剪定で用いるハサミを作る職人や、石垣を組む職人など、和歌山発祥の温州みかんを、沢山の地元の人々が集まって大切に育ててきた奥の深い歴史がある」と語りました。

そして、世界農業遺産となったこれからについて仁藤さんは「“遺産”という名前に引っ張られて、((かたまり)にしてしまってはいけない。これを機に、もっと良いみかん生産の場に磨き上げていくことが大切だ。次の世代の人たちが、みかん生産に魅力を感じて従事してもらえるような、誇り高い和歌山になって欲しい」と提言しました。

和歌山放送では、仁藤さんのインタビューを、9月21日と28日、それに10月5日のいずれも午前7時半から7時50分までの対談番組「オピニオントーク」で放送する予定です。