全遊泳客退避に2分50秒、白良浜の映像を東北大が分析/和歌山
2025年9月12日 17時13分
災害・防災

ロシアのカムチャツカ半島付近で、7月30日に、巨大地震が起きた際、白浜町の白良浜(しららはま)海水浴場にいた遊泳客ら69人全員が、津波注意報の呼びかけから、2分50秒で砂浜に上がる迅速な行動を取っていたことがわかりました。

これは、東北大学・災害科学国際研究所の佐藤翔輔(さとう・しょうすけ)准教授らが、白良浜を見下ろす高台に設置されている共同通信の定点カメラ映像を分析し、分かったものです。

ただ、砂浜では、テントの撤去やシャワーの利用などで避難が遅れ、一時的に砂浜からすべての人がいなくなったのは12分後でした。

佐藤准教授は「海からすぐに退避しており、想定にも間に合う行動」と評価する一方、砂浜の行動は改善する課題が得られたとし、「一目散に、安全な場所へ向かうように事前の啓発が必要」と強調しました。

このカメラは、災害対応のため、海水浴場の白良浜を見下ろす宿泊施設の屋上に、共同通信が設置しているもので、高精細の4K映像で、中心部周辺を撮影し、24時間、ユーチューブで、ライブ配信されています。

佐藤准教授らは、この映像に着目し、和歌山県に津波注意報が発表された7月30日 午前8時37分からの17分間、当時、海水浴場内の海に69人、砂浜に79人、階段部に8人いた、あわせて156人の行動を詳細に分析しました。

津波注意報が、場内放送で伝えられると、海から砂浜を目指す動きが一斉に開始され、ライフセーバー2人が避難を促す旗「津波フラッグ」をおよそ90秒間、振り続けました。そして、2分50秒で、海にいた全員が砂浜に移りました。

佐藤准教授は「地震から津波到達までが短時間でも、適切に行動すれば命は守れると確認できた意義は大きい」と指摘、「海水浴場側は、安心して来てもらえるよう、避難誘導の充実に努めてほしい」と強調しました。