日本初、メス化したシベリアチョウザメから採卵・ふ化に成功/近畿大学・和歌山
2025年9月14日 17時24分
教育 社会

近畿大学水産研究所の研究グループは、このほど、オスからメスに性転換させたシベリアチョウザメから、日本で初めて、採卵、ふ化に成功しました。これにより、キャビアの生産に関し、これまで、採卵対象でなかったオスを活用でき、生産効率の向上に期待されます。

ふ化したシベリアチョウザメの稚魚(写真提供:近畿大学)

成果を発表したのは、新宮市にある近大の実験場で研究を進めている稻野俊直(いねの・としなお)准教授と木南竜平(きなみ・りゅうへい)助教らのグループです。

グループでは、これまで、ドイツから輸入した受精卵を人工ふ化させ、女性ホルモンを投与することで、すべてメス化することに成功していました。そして、このほど、7歳2か月となった1匹が、卵(たまご)を持っていることを確認し、元はオスだった個体が、メスに性転換したあと、卵を持つことが明らかになりました。

さらに2か月後、この個体から、およそ6万8000個の採卵(さいらん)にも成功し、別のシベリアチョウザメで受精させたところ、5日後にふ化が確認されました。これは、性転換したシベリアチョウザメから採卵してふ化させた日本初の事例となりました。

また、ふ化した稚魚(ちぎょ)は、すべてがオスとわかり、性転換させたシベリアチョウザメの卵からふ化した稚魚は、遺伝的にはすべてオスになるという理論を世界で初めて証明しました。

研究グループでは、オスをメス化して採卵することに成功したため、オスからのキャビア生産の可能性が広がりましたが、さらに効率化するためには、生まれながらに、すべての個体をメスにする必要があり、今後は、これを目指すということです。