博物館登録記念「熊野懐紙(写)」特別公開、藤白神社/和歌山
2025年10月9日 17時33分
歴史・文化

海南市の藤白(ふじしろ)神社では、登録博物館になったことを記念し、所蔵する後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)御宸翰(ごしんかん)の熊野懐紙(くまのかいし)の写しなどを特別公開しています。

特別公開されている熊野懐紙の写し

熊野懐紙とは、生涯で30回以上、熊野三山(さんざん)を詣(もう)でた後鳥羽上皇が、道中の王子社(おうじしゃ)などで催した歌会(うたかい)で詠んだ歌を2首ずつ認(したた)めたものです。

公開されているのは、1201年(建仁(けんにん)元年)の熊野御幸(ごこう)の際に催された藤代王子(ふじしろおうじ)和歌會(わかえ)の熊野懐紙の写しで、上皇のほか、随行した歌人の源通光(みなもとの・みちてる)と藤原定家(ふじわらの・さだいえ)のあわせて3枚です。

机にも写真展示されている

神社の境内にある第四展示室「儀式殿(ぎしきでん)」で、軸装(じくそう)されて、3幅並べて飾られているほか、机の上にも、1枚ずつ写真展示され、間近で鑑賞することもできます。

藤白神社は、熊野九十九(くじゅうく)王子の中で、格式が高い五体(ごたい)王子のひとつ、藤白王子跡(あと)で、平安時代末期に、熊野から移り住んだ鈴木氏が
全国に熊野信仰を広げる拠点としたところです。2015年に、藤白坂(ふじしろざか)などとともに国の史跡となり、2017年には「絶景の宝庫 和歌の浦」の構成要素として日本(にほん)遺産に認定され、今年(2025年)8月、一帯が「藤白王子跡ミュージアム」として、登録博物館となりました。今回の特別公開は、これを記念した企画展です。

学芸員の資格を持つ、藤白神社の権禰宜(ごんねぎ)、中井万里子(なかい・まりこ)さんは、「博物館にしたのは、歴史と文化を継承し、広く知ってもらうため。これからも機会を捉えて、企画展として、文化財や調査・研究成果などを発表・展示していきたい」と話しています。

藤白神社の第四展示室「儀式殿」

熊野懐紙の写しの特別展示は、今月(10月)26日までで、入館料は、鈴木屋敷や権現堂(ごんげんどう)の見学を含め、300円です。

なお、藤白神社では、今月12日に「秋祭り」が催され、県の無形民俗文化財「藤白の獅子舞」の奉納のほか、子ども神輿(みこし)や綿菓子、ポンポン菓子などの出店もあるということです。