JR紀勢線の白浜・新宮間の利用者増に向けて特急くろしお増便の実証実験へ
2025年10月29日 17時07分
経済 交通

利用者数の著しい減少が続き存続の可否について課題となっている、JR紀勢線の白浜・新宮間について、JR西日本・和歌山支社では、来月(11月)4日から特急くろしおを平日に1往復増便する実証実験をスタートするなど、沿線の自治体などと連携しながら利用促進に取り組む方針を明らかにしました。

平日増便の実証実験が行われる特急くろしお号

JR西日本・和歌山支社によりますと、紀勢線の白浜・新宮間の輸送密度は、昨年度(2024年度)は1日あたり960人と、国鉄からJRに移行する直前の1987年度の1日あたり4123人と比べて、4分の1以下にまで落ち込んでいます。

営業係数は、100円の収入を得るために650円の経費がかかる計算となっていて、JR西日本は白浜・新宮間を含む輸送密度が2000人未満の路線は、単独での路線の維持や、地域の移動ニーズに応えることが非常に困難としています。

並行する高速道路の延伸などを理由に挙げていて、普通列車の主な客層の高校生も少子化による減少に歯止めがかからないことから、今後、和歌山県や沿線の市町村などと、上下分離などを含めた輸送サービスの確保などを議論しながら、持続可能な交通体系のあり方を検討する方針を示しています。

このことを踏まえて、JRでは国の補助事業を活用して、来月(11月)4日から、平日の月曜から木曜まで、特急くろしお1往復を増便する実証実験を開始し、白浜・新宮間の輸送密度2000人を達成するため、2007年度の特急利用者数・1927人を目標に掲げ、県や沿線の市町村、和歌山大学などと連携して様々な利用促進策に取り組み、高校生や高齢者の利用促進策も検討する考えを示しました。

JRでは、特急くろしお増便の実証実験を今年度末(2025年度)まで行う予定ですが、国の動向や沿線自治体などの意見などを踏まえて、 次の年度に延長する可能性も示しています。