「大人のための朗読会」が今月(10月)26日、御坊市内で開かれ、戦後80年、平和を紡ぐというテーマで群読が行われました。

これは、地元のおはなしサークル「泉のひろば」が毎年この時期に、開いているもので、今年で6回目です。
朗読会では、1945年6月22日の日高地方の空襲で同級生を亡くした花澤怜子(はなざわ・れいこ)さん93歳が制作した、紙芝居「泣かなわりぃやろか~少女たちの戦争~」を4人のメンバーが群読し、会場となった御坊市の塩路家具1階広間では、70人ほどが聞き入りました。
おばの弘子(ひろこ)さんを空襲で亡くした東洋一(あずま・ひろひと)さん67歳は、群読を聞いて、「今までまったく知らなかったことが、紙芝居を通じて、わかった。戦時中のことなので、我々が想像する以上に大変だったん違うかなあということをあらためて身に染みて感じたところだ」と話しました。

「泣かなわりぃやろか」を群読した一人の宮本浩子(みやもと・ひろこ)さん80歳は、「花澤さんが疎開してきて、苦しい軍事作業ばかりやらされて学業は全くできてなくて苦しい時代を生きてきた。大変だったと思う。何の罪もない、子どもまで命を奪われたことについて、戦争は、ものすごい犯罪だと思いました」と述べました。

朗読会では、このほか、「あらしのよるに」や「手ぶくろを買いに」が、群読や朗読されました。

おはなしサークル「泉のひろば」の代表の小山千賀(こやま・ちか)さん81歳は、「いま平和だが、戦争の苦しみを忘れないようにしないとダメだ。今年は、戦争の話が多いが、日常のことを忘れて、ここで楽しい思いをしてほしい。1人暮らしのお年寄りも、これから先、夢を持って生きていく。そういう思いをしてもらう本も選んでいる」と話していました。

この日の朗読会には、作者の花澤さんも姿を見せ、「太平洋戦争末期にかけて過ごした日高での1年半は、忘れられない。人生の大きな部分をしめている」と話し、作品の群読に聞き入っていました。
