串本町で防災行政無線活用した津波避難訓練
2025年11月3日 16時56分
災害・防災 社会

11月5日の「世界津波の日」を前に、きょう(11月3日)串本町で南海トラフ巨大地震を想定した津波避難訓練が行われました。

徒歩で西向小学校へ避難する住民ら(※訓練・11月3日・串本町西向)

訓練は、きょう午前9時に南海トラフ巨大地震が発生し、和歌山県に大津波警報が発令されたという想定で行われ、冒頭、町の防災行政無線で大津波警報の発令と、避難を呼びかける放送が流れると、町民らは高台の公共施設へ一斉に徒歩で避難しました。

西向小学校の校庭に集合する住民ら(※訓練)

避難場所のひとつ、古座()(こざ)地区の西向()(にしむかい)小学校には、お年寄りや親子連れなどが次々と集まり、開始からおよそ10分間で69人が避難しました。

串本町の防災行政無線スピーカー

今回の訓練では、和歌山放送など関西の民放とNHKのアナウンサーらが災害報道のあり方を研究する「関西アナウンス勉強会」が串本町と連携して、防災行政無線での呼びかけ文章を作成し「南海トラフ地震のおそれあり」「みんなで高台に避難」といった、短く踏み込んだ表現を盛り込むことで、より強く避難を促す実証実験が初めて行われました。

参加者は「危機感を感じる内容だった。南海トラフと聞くだけで、津波が来ることをみんなよく知っている」などと話していました。

また、参加者にアンケートを行ったところ「命令形よりも体言止めの方が冷静に聞ける」とか「津波となればみんなすぐに逃げるので、大津波警報、津波警報と分けず、単に“津波が来る”と言い切っても良い」「“南海トラフ地震のおそれあり”という表現はものすごく実感がある」などといった意見が寄せられました。

串本町の杉本総務課長(手前)と関西大学の近藤教授(奥)

串本町総務課の杉本隆晴()(すぎもと・たかはる)課長は「メディアが連携して町民の安全を考えてくれてとても有難い」と話しています。

災害ジャーナリズムが専門で関西大学社会安全学部の近藤誠司(こんどう・せいじ)()教授は「これまで、報道が甚大な被害想定を繰り返すことで、逆に避難を諦めさせてきたことが反省点だ。メディアは命が助かるための情報を発信することで、津波避難を諦めさせない使命を再認識する段階に入ったのではないか」と話しています。

勉強会では、今後も串本町と協議を続け、より伝わりやすい呼びかけ内容を検討していく方針です。