紀州鉄道が鉄道事業廃止検討・事業譲渡先探しが急務
2025年11月10日 17時13分
社会
交通
日本一短い距離の地方私鉄として知られる御坊市の紀州鉄道(りんこう)が、来年(2026年)鉄道事業を廃止する方向で事業譲渡先を探していることが、関係者の話でわかりました。
紀州鉄道は、1928年に御坊臨港鉄道として、当時の国鉄紀勢西線と御坊市中心部とを結ぶ旅客と貨物の輸送路線として開業し、1969年、リゾートホテルや不動産売買を手掛ける東京の企業に買収され紀州鉄道と改名しました。
現在は、JR御坊駅と西御坊駅までのおよそ2・7キロで、1両編成のディーゼルカーが運行されています。
国土交通省が発表した2019年度の紀州鉄道の営業係数は612・5と、100円の収入を得るのに612円あまりの経費がかかる計算で、存続の危機が続いていて、運行本数を減らすなどの対策をしていますが、人件費のほか、踏切の修繕や線路の枕木交換などの維持経費も重くのしかかり、経営改善が厳しいのが現状で、崖っぷちに立たされています。
関係者によりますと、紀州鉄道はこの状況が続けば、2026年での鉄道廃止はやむを得ないとする一方で、更なる減便を行うものの、事業譲渡先が見つかるまでの間、廃止の時期を猶予する考えも示しているということで、譲渡先探しに奔走しているほか、県や御坊市に経営維持について相談するなど、路線の存続に向けてあらゆる策を検討しています。