東京の宇宙事業会社スペースワンは、きょう(1日)、串本町で予定していた小型ロケット「カイロス」3号機の打ち上げについて、天候分析の結果、中止したと発表しました。上空の風が想定より弱く、機体に悪影響を与える恐れがあったとし、次の打ち上げについては、新たに今月(3月)4日以降で調整していると明らかにしました。

これは、民間単独としては、国内初となる人工衛星の軌道投入に向けた3回目の挑戦で、きょう午前11時に、串本町の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊(きい)」から打ち上げられる予定でした。
午後の説明会で、スペースワンの阿部耕三(あべ・こうぞう)執行役員は、「偏西風が強い、冬場の気象状況を前提として、打ち上げに臨んだものの、実際には、春先のような気象で、上空の風速が想定の半分程度だった」と話し、「計画と異なる条件での打ち上げは、機体への負荷が強く、破壊される可能性があるとして、延期を判断した」と説明しました。そして、阿部氏は、「安全で確実な打ち上げに全力を尽くしたい」と述べました。
和歌山県の宮﨑泉(みやざき・いずみ)知事は、きょう、記者団の取材に、「延期は残念だが、万全の状態で飛ばしてもらうのが一番良い」と語りました。
朝早くから大勢の見物客が訪れていた那智勝浦町の見学会場、旧浦神(うらがみ)小学校では、雲一つない青空のもと、打ち上げ予定時刻まで30分を切った午前10時35分頃、中止のアナウンスが流れると、大勢の観客から落胆の声が上がりました。和歌山市から来た親子は、「ショックです。こどもとカウントダウンの練習もしていました。ぜひ次こそは、飛んでほしいです」と話しました。
一方、串本町の見学会場、田原(たわら)海水浴場で、打ち上げの瞬間を待っていた和歌山市の小学4年の男の子は、「ワクワクしています」と話した直後に、打ち上げ中止が発表され、一瞬、落胆した表情を見せましたが、「でも、また来たいです」と話し、見学会場の近くに住むという50代の女性は「活気があっていいけれど、遠くから来てくれる人には申し訳ない」と、残念そうな表情を見せました。
地元、串本町の田嶋勝正(たしま・かつまさ)町長は、「失敗したわけではない。また1つ楽しみが増えただけだと思う。まだ日もあるので、最高の条件で打ち上げてもらいたい」と、次回の打ち上げに期待を寄せました。
カイロス3号機は、全長およそ18メートル、重さおよそ23トンの固体燃料ロケットで、台湾の宇宙機関の衛星などあわせて5機を搭載しています。当初、先月(2月)25日に打ち上げを予定していましたが、悪天候で、きょうに延期されていました。