5年前・2021年7月、和歌山市の紀の川大橋で、てんかんの持病で乗用車の運転に支障がある状態にもかかわらず、乗用車を運転して発作による意識障害を起こし、1人を死亡させる事故を起こしたとして、危険運転致死傷の罪に問われている女性被告に対する初公判が、きょう(6月1日)和歌山地方裁判所で開かれ、被告は起訴内容について「事故を起こしたことは間違いないが、てんかんの発作は起こしていない。運転中に意識障害が起こるとは思っていなかった」と一部を否認しました。
起訴されたのは、和歌山市の美容師・西馬淳子(にしうま・あつこ)被告56歳です。
起訴状などによりますと、西馬被告は、2021年7月15日の午前10時50分ごろ、和歌山市湊(みなと)の紀の川大橋で乗用車を蛇行運転し、交差点の右折レーンで停まっていた前方の車に追突したあと、対向車線にはみ出してミニバイクにぶつかり、頭を強く打った和歌山市の竹田汐里(たけだ・しおり)さん当時22歳を死亡させた疑いです。
警察は、事故当時、西馬被告がてんかんの発作を起こしていたとみて捜査しましたが、調べに対し西馬被告は「心臓が苦しくなって衝突した。薬を飲んでいたので、てんかん発作で事故を起こしたのではない」と容疑を否認していました。
2022年8月、嫌疑不十分で不起訴となりましたが、亡くなった竹田さんの両親が不服を申し立て、2023年の検察審査会で「不起訴不当」とされたため、翌2024年7月、和歌山地方検察庁が一転、起訴に踏み切ったものです。
きょうの初公判で西馬被告は「事故を起こしたことは間違いないが、てんかんの発作は起こしていない」と述べ、改めて起訴内容の一部を否認しました。
冒頭陳述で検察側は、事故当時の西馬被告の車や、近くにいた車のドライブレコーダーの映像を証拠として公開し「被告は2012年に脳腫瘍の摘出手術を受け、その2年後にけいれん発作を起こして病院でてんかん薬を処方され、この時以降、医師からてんかんの症状を伝えられ、自動車の運転を禁じられていた」と指摘しました。
これに対し弁護側は「脳腫瘍の手術後、被告は薬の処方は受けていたが、医師から自分がてんかんだとか、自動車を運転してはいけないといった指示を受けた記憶が残らなかった。意識障害は心疾患が原因でてんかん発作ではない」として、無罪を主張しました。
初公判のあと、ミニバイクで事故に巻き込まれ死亡した竹田さんの父親が取材に応じ「この5年間、被告は全く主張を変えず、法廷でもてんかん発作を否認した。入廷して、傍聴席には一礼したが、私の方には目を合わさず、非常に不快だった」と述べました。
裁判は、今後、今月(6月)9日と16日に証人尋問、今月18日に被告人質問が行われたあと、9月1日に論告求刑公判が開かれる予定です。