佐藤春夫の遺品1万3千点以上、記念館に寄贈/和歌山・東京
2026年2月15日 18時31分
歴史・文化 教育

新宮市出身の文豪、佐藤春夫(さとう・はるお)が遺した多くの資料が、このほど、遺族から、新宮市の市立佐藤春夫記念館に寄贈されました。先月(1月)下旬、東京の実践(じっせん)女子大の渋谷キャンパスで、関係者が出席して受贈式典が行われました。

左から、高橋百合子氏(佐藤家)、辻本雄一・記念館館長、上田勝之市長、速水盛康・市教育長
(1月24日/実践女子大・渋谷キャンパスの資料受贈式典で/新宮市提供)

寄贈されたのは、和歌山県立近代美術館に保管されている高村光太郎(たかむら・こうたろう)作の佐藤春夫像や、実践女子大に保管中の1万3千点を超える写真資料などです。これらは、春夫の長男の方哉(まさや)氏が保管していたもので、実践女子大の支援を受け、親族や研究者によって、整理が進められてきました。記念館と実践女子大は、連携協定を結んでいて研究協力を続けています。

調査の中で、芥川賞を懇願する太宰治(だざい・おさむ)の4メートルに及ぶ書簡や、春夫の中学進学前後の日記、芥川龍之介(あくたがわ・りゅうのすけ)との親交を示す書簡、太宰の病状を報告する井伏鱒二(いぶせ・ますじ)の書簡などが確認されています。資料は、春夫の幅広い交友を示すとともに、今後、多くの文壇資料の発見も期待されています。

一方、佐藤春夫記念館は、東京文京区にあった旧邸を新宮市に移築して、1989年に開館しましたが、老朽化などから、新宮市が耐震改修と移築を決め、現在休館中で、今年(2026年)秋にもリニューアルオープンが予定されています。寄贈された資料は、今後、記念館でも、展示に活用されますが、当面は、現在保管している美術館と大学が管理を代行することになっています。

新宮市の上田勝之(うえだ・かつゆき)市長は、今回の寄贈について、「地域の文化意識を高める大切な機会となる」と感謝し、「次世代へ伝えていく責任を深く重く受け止めている」などとコメントしています。